Jolie Toujours
boutique/client:tokyo geimu /location:tokyo ikebukuro/area:18㎡/ date:03.2008/art direction& interior design/graphics:kishiko oomi
インテリアのデザインではよく「〜風」というリクエストを受ける。どこかの国のある時代のスタイルでデザインすることはクライアントや消費者とイメージを共有しやすく、誰もが様式への幻想や憧れがあるので理解されやすい。ただどうしても、21世紀の商業施設の中のわずかなスペースに、様式をほどこした空間を作っても虚構でしかなく、いくら真似をしてもリアリティを獲得出来ずに、悲しいものとなってしまう。そもそも、過去の様式を忠実に再現することを望まれてはいなく、むしろ求められているのはパッチワークのようなイメージの集積なのだ。総体ではなく断片、リアルでなくフェイク、立体ではなく平面・・・。
このようなイメージの集積が「〜風」の正体なのであれば、リアリティを追求しても挫折し、悲しい結果になってしまうのは当然のことである。むしろ徹底的に「フェイク性」を追求することが、新しい地平を切り開くのではないだろうか。
そこで、店内にちりばめられる様々なイメージの断片から、「〜風」を実現するために必要な要素だけを残し、あとは徹底的にリアルな部分を排除するという手法を採用することにした。すると残るのは、極めて表層的で、平面的な物体の輪郭線(シルエット)だけとなりる。この抽出されたシルエットを用いて空間を構成すれば「〜風」というイメージを体現しつつ、リアルになれない挫折を感じることもない。
フェイクであることを突き詰めることによって獲得できる「真のフェイク」。自己矛盾とも言えるこの手法を、私たちは「フェイク様式」と名付けた